脳卒中治療
当院では、脳神経外科医と脳内科医が連携を取り、24時間体制で脳卒中治療に臨んでいます。
開頭手術、血管内治療、t-PA静注療法(発症4.5時間以内の血栓溶解療法)などの救急医療をはじめ、機能回復のためのリハビリテーションまで一貫して治療を行っています。
脳卒中とは
脳卒中は、原因によって以下のタイプに分類されます。
脳梗塞 |
脳へ血液を送る血管がつまる |
一過性脳虚血発作 |
脳梗塞のうち、24時間以内に症状が回復する状態 |
脳出血 |
脳の血管が破れる |
くも膜下出血 |
脳の太い血管に生じたコブ(動脈瘤)が破裂して、脳の表面に出血する |
脳卒中発症時発症時には、急に倒れて意識がなくなったり、半身の麻痺が起こったり、ろれつが回らないなどの症状が突然起こります。日本脳卒中協会などでは、脳卒中を疑う5つの典型的症状を以下のようにあげています。
- 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる(手足のみ、顔のみの場合もあります)
*両側の指先が徐々に、または、時々しびれるような場合は脳卒中の症状ではありません
- ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
- 力はあるのに立てない、歩けない、フラフラする
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
片方の目にカーテンがかかったように、突然一時的に見えなくなる
- 経験したことのない激しい頭痛がする
脳卒中を疑ったら、すぐに受診することが望ましいです。早く治療を開始することにより、後遺症が軽くなることがあります。脳梗塞の場合、発症から4.5時間以内のみに行える特殊な治療(t-PA静注療法)があります。症状が進行すると、重度の場合には命にかかわることもあります。少しでも症状が軽い状態で、出来る限り早い適切な時期にリハビリテーションを開始することも、後遺症を軽くするためには非常に重要です。
検査と治療方法
脳卒中を疑った場合、どのタイプの脳卒中なのか、どこに異常があるのか、早急に頭部CT、頭部MRI、頭頸部MRAなど調べる必要があります。
頭部CT |
脳にX線をあててコンピュータで断層画像を作成し、診断します |
頭部MRI |
強い磁石と電波を利用して、断層画像を作成します。超急性期の脳梗塞の診断に有用です |
頭頸部MRA |
MRIで頭頸部の血管を画像化します |
脳卒中の治療
診察や検査の結果より原因を診断し、それに応じた治療法を選択します。
開頭手術 |
全身麻酔下で頭蓋骨の一部を開け、手術用顕微鏡を用いて行う治療です。その顕微鏡のもとで専用の手術器具を用いて、脳出血やくも膜下出血などに対して治療を行います。また、脳梗塞の原因となりうる頭蓋内血管狭窄・閉塞症例にバイパス術なども行います。 |
血管内治療 |
開頭手術が困難と考えられるくも膜下出血、血栓溶解療法(t-PA静注療法)の非適応例・無効例、頸部頸動脈の高度狭窄の脳梗塞発症・再発予防などに、カテーテルを用いて治療を行います。 |
血栓溶解療法
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発症から4.5時間以内の脳梗塞のみに行うことができる、脳血管の血流を止める原因となっている血栓を溶解し、詰まった血管を再開通させる特殊な治療法です。 |
脳血管内治療とは
脳血管内治療とは、足のつけ根あるいは腕の血管から、「カテーテル」という細い管を入れて、脳に向かう血管や脳の血管に到達させることにより、診断・治療を行います。これらの「カテーテル」の誘導や診断・治療は、レントゲン透視で確認しながら行います。
この治療法は、従来の開頭手術に比べ、身体への負担を少なく行えることが特徴です。高齢者や体力的に開頭手術の困難な方にも、手術加療を行うことができます。そのため、これからの高齢化社会において、ニーズの高い治療法であると言えます。また、開頭手術でアプローチの難しかった部位の治療も可能です。しかし、病変・病気の状態によっては適応が限られることがあります。
(適応疾患)脳動脈瘤、頸部頸動脈・頭蓋内脳動静脈奇形、脳血管奇形(脳動静脈奇形・硬膜動静脈瘻)、急性期虚血性病変(t-PA静注療法非適応・無効例)
適応疾患
脳動脈瘤、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻等の出血病変、頭や首の血管の狭窄症など
脳動脈瘤コイル塞栓術
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手術前 |
手術後 |
経皮的頸動脈ステント留置術
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手術前 |
手術後 |